「おかえりなさい」 できるだけ普通の声で返す。 でも、背中がピンと張ってるのが自分でもわかる。 先輩は、ブレザーを脱ぎながらキッチンに近づいてくる。 「涼ちゃん、料理してるの?えらいね~」 その軽い声と、気さくな笑顔。 ……やっぱり苦手。 *** 夜。 夕ご飯も片付けて、やっと一息。 「お風呂、入っちゃおう…」 誰もいないはずの脱衣所。 安心して服を脱ぎかけた、その瞬間―― ガチャッ。 「わっ、ごめん!」 振り向いたら、そこには先輩。 目が合った。 ……最悪。