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家に帰って、 まっすぐ先輩の部屋へ向かった。
扉をそっと開けると、 先輩はぐっすり寝ていた。
薬が効いてるみたい。
呼吸は落ち着いてて、 顔色も少しよくなってる。
…よかった。
静かにベッドの横に座って、そっと先輩の手を握る。
その手は、少し熱が残ってて、でも、ちゃんと生きてるぬくもりがあった。
「先輩、今日…大智先輩とお話ししましたよ」
声は、自然と小さくなった。
寝てる先輩に、 届くか分からないけど、それでも伝えたかった。
「大丈夫。今は、私がいるよ」
その言葉を言った瞬間、胸がじんわりあったかくなった。
家族として、 妹として、 私は先輩のそばにいたい。
誰にも言えなかったことも、 誰にも見せなかった顔も、 私だけには見せてくれた。
だから、もう一人で抱えなくていい。
「安心して眠ってね」
そっと、手を握り直す。
先輩のまぶたが、 少しだけ動いた気がした。
夢の中でも、 誰かがそばにいるって思ってくれたらいいな。


