そんな先輩が、私は――
好き。
でも、それは“恋”じゃない。
“兄”として。 “家族”として。
私にとって、 晴人先輩は、 世界で一番大事なお兄ちゃん。
誰にも見せない顔を、 私だけに見せてくれる。
そのことが、すごく嬉しくて、すごく誇らしくて。
だから、私は思った。
先輩に、心から笑ってほしい。
目までちゃんと笑ってる、そんな顔が見たい。
昨日から涙が止まらないのは、その笑顔を願ってるから。
守られてばかりじゃなくて、今度は私が守りたい。
家族になったからこそ、そう思えるようになった。
「…っ」
言葉が出なかった。
胸が、ぎゅっとなって、喉がつまって、ただ、大智先輩の顔を見つめることしかできなかった。
「急に家族になって、俺にこんなこと言われて意味分かんねぇよな」
そう言って、 大智先輩は私の頭をポンポンと二回、軽く叩いた。
…その手が、あったかかった。
「熱出して寝込んだ時も、いつも一人だったから。 帰ったらよろしくな」
その言葉を残して、 大智先輩は歩いていった。



