「そこからあいつ、 自分には顔しか価値がないって思ってるみたいで。 人にも、物にも、執着がない」
…“俺、空っぽだから”
前に、先輩が言ってた言葉。
その意味が、やっと分かった気がした。
誰にも期待しないようにして、 誰にも心を預けないようにして、 全部、どうでもいいって思うようにして。
それでも、優しくて。 それでも、誰かを守ろうとして。
…空っぽなんかじゃない。
「柴崎さん、俺…柴崎さんしか晴人のこと救えないと思ってるから」
大智先輩の言葉に、私は目を見開いた。
「な、なんで私…?」
私なんかに、そんなこと言われても。
でも、大智先輩は静かに言った。
「晴人が唯一、心を許してる相手だから」
その瞬間、 何かがふっとほどけた気がした。
…そっか。
先輩は、私の前では飾らない。
ハンバーグ食べてるとき、
「うまっ」って言って、 子どもみたいな顔してた。
ゲームしてるとき、
「負けたくない」って本気で悔しがってた。
私が泣いてるとき、 何も言わずに手を握ってくれた。



