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次の日の朝。
いつもなら、先輩が起きてくる時間。
「おはよー」とか言いながら、歯みがきしてるのに。
今日は、静かだった。
…あれ?
なんか、嫌な予感。
部屋の前で立ち止まって、 ノックしてみる。
「先輩、起きてますか?」
返事はない。
…まさか。
そっと扉を開けると、 ベッドの中でぐったりしてる先輩がいた。
「えっ…!先輩!?」
駆け寄って、顔を覗き込む。
…赤い。
おでこ、熱い。
「お母さん、大変!先輩、熱出して寝込んでる!」
リビングに走っていく。
お母さんがすぐに体温計を持ってきて、 先輩の熱を測る。
「38.4度ね」
その数字を見た瞬間、 胸がぎゅっとなった。
…私のせいだ。
昨日、髪も乾かさずに、 私のために外に飛び出してきてくれた。
あの夜道で、 おじさんに絡まれた私を助けてくれて、 濡れた髪のまま走ってきてくれて。



