でも、今なら分かる。
その壁は、 誰にも見せたくなかった痛みでできていて、 誰にも触れられたくなかった記憶でできていて。
先輩は、 ずっと一人で抱えてきたんだ。
「こんな話させて、ごめんなさいっ……!!」
気づいたら、私は泣いていた。
涙が、ぽろぽろとこぼれて、 止まらなかった。
泣きたいのは、先輩なのに。
苦しいのは、先輩なのに。
どうして、私が泣いてるの。
でも、涙は止まらなかった。
先輩の痛みが、 あまりにも静かで、 あまりにも深くて、
私の心に、 じんわりと染みていったから。
…ごめんなさい。
こんなに優しい人に、 私は、ひどいことばかり言ってた。
「顔も見たくない」なんて、 本当はそんなこと、思ってなかったのに。



