帰り道。
私の涙は、なかなか止まらなかった。
先輩は、何も言わずに、 私の手を握ってくれていた。
その手が、あたたかくて、 優しくて、 余計に涙が出てくる。
「前の肩の傷。俺のせいでごめん」
先輩が、ぽつりと口を開いた。
「教室で女子が話してるの、聞いて」
…あの時のこと。 体育館裏で、先輩女子に囲まれて、 肩を押されて、壁にぶつかった。
痛かった。 怖かった。 でも、それ以上に、悔しかった。
「先輩、女遊び辞めたって本当ですか?」
私は、震える声で聞いた。
「うん。もう連絡先も全部消したよ」
先輩は、少し笑って言った。
「残ってるのは大智だけ」
元々必要じゃなかったしね、なんて。



