この恋、予定外すぎて困ってます


***



朝、目が覚めた。いつも通り、ぼんやりした頭で洗面所へ向かう。

扉を開けた瞬間――



「……っ!」



そこには、髪を濡らしたままの先輩が立っていた。

白いシャツが少し透けてて、思わず目をそらす。



「ご、ごめんなさいっ!」



慌てて扉を閉める。 心臓がバクバクしてる。


そうだ。昨日から、先輩との同居が始まったんだった。
忘れてたなんて、ありえない。


こんな毎日が続くの?


扉の向こうから、優しい声が聞こえた。



「涼ちゃん、ごめんね。先使っていいよ」



……名前、呼ばれた。
しかも、あの落ち着いた声で。

心臓がまた跳ねる。



「は、はいっ!すぐ終わらせます!」



顔が熱い。絶対、赤くなってる。 鏡なんて見てられない。

歯磨きも洗顔も、いつもの倍速。 ドライヤーなんて、風だけ当てて終了。

そして、朝ごはんも食べずに玄関を飛び出した。