「晴人の弁当、毎日作ってんの?」
突然、先輩の友達に声をかけられて、私は一瞬固まった。
「あ、えっと…」
どう答えればいいのか分からない。
先輩が私のことを、友達にどう伝えてるのか知らない。
下手なことを言って、変な誤解を生んだら困る。
…“同居してる”なんて、絶対に言えない。
学校中の女子が敵になる。 それだけは避けたい。
だから、私は言葉を濁すしかなかった。
でも、先輩は笑って言った。
「あ、この子が前言ってた涼ちゃんね」
…え。
“前言ってた”? 私のこと、話してたの?
「涼ちゃん、こいつは大智(だいち)。大智には話してあるよ」
…話してある。
その言葉に、心がふわっと揺れた。
なんだろう、この感じ。 安心したような、ちょっと照れくさいような。



