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ある日、先輩がお弁当を忘れて出かけてしまった。
私は、昼休みにそっとお弁当を持って校舎を歩いていた。
…別に、届けたからって何かあるわけじゃない。
ただ、食べてくれたら嬉しいなって、それだけ。
でも、購買の前に並んでいる先輩を見つけた。
パンを手にして、楽しそうに話してる。
…あ、もう必要ないかも。 なんか、私だけ空回りしてるみたい。
そう思って、くるっと背を向けた瞬間――
「涼ちゃん!」
大きな声が響いて、私はびくっと振り返った。
…やめてください! そんな大きな声で呼ばないで!
誰かに聞かれたらどうするんですか!?
「大きな声でやめてください!」
声が少し震えてしまった。



