「これ、似合うと思う?」
そう聞かれても、私は答えに困ってしまう。
「…似合うと思います」
それしか言えなかった。
先輩は「そっか~」って笑って、 また別の服を手に取る。
私は、隣で静かに歩きながら、 “似合う”以外の言葉を探していたけど、 結局、見つからなかった。
結局、今日は何も買わなかった。
先輩の夏服も、私の服も、 いろいろ見たけど、これっていうのは見つからなくて。
でも、お弁当箱だけはしっかり選んだ。 色違いのお揃い。
それだけで、なんだか十分だった。
帰り道、夕暮れの空が少し赤く染まっていて、 先輩がふと立ち止まって言った。
「今日ありがとね」
優しく微笑むその顔に、私は思わずドキッとした。
…ずるい。 そういう顔、反則。
でも、私はその気持ちを隠すように、 「こちらこそ」って、そっけなく返してしまった。



