「先輩、ちょっとは楽になったかなと思って」



鼻をすする涼ちゃんの声。 その優しさに、胸がじんわりあたたかくなる。



「全部涼ちゃんのおかげ。 また、心配になって泣いてんのかと思った」



そう言うと——



「ちょっとだけ。 もしかしたら、美冬さんのとこに行くんじゃないかって思っちゃいました」



涼ちゃんの声が、少しだけ震えてる。

心配しないでって言ったのに。 でも、そんなとこも——



「かわいーね」



思わず、笑ってしまう。



「そろそろ、心の準備できた?」


「なっ!?昨日の今日ですよ!?」



顔を真っ赤にして怒る涼ちゃん。

俺のことで、本気になってくれる涼ちゃん。

不安も、照れも、全部が愛しい。

この先も、ずっと隣で笑っていてほしい。