*** 夜。 バイトが終わって、鍵を開けて家に入る。 「ただいま」 リビングの灯りがついていて、珍しく涼ちゃんがまだ起きていた。 その姿を見つけて、嬉しくなった。 でも——その気持ちは一瞬で消えた。 涼ちゃんが、泣きそうな顔をしていたから。 「どうしたの?」 声をかけると、少しだけ目を伏せて。 ぽつりと、言った。 「放課後、美冬さんに会いました」 その名前を聞いた瞬間、胸がざわついた。