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「購買行こーよ、涼!」
花に誘われて、私は財布を握りしめて教室を出た。
パンの争奪戦に巻き込まれる覚悟はできてる。
購買の前。
人だかりの中に、見覚えのある後ろ姿。
……先輩。
その隣には、先輩の肩に手を置いて、楽しそうに話しかけてる女の子。
笑ってる。 距離、近すぎる。
「……」
朝、朝食作ってくれた時は、ちょっとだけ見直したのに。
やっぱり嫌い。 あの軽さ。 あの誰にでも優しい感じ。
「涼?どうしたの?」
花がパンを選びながら振り返る。
「……なんでもない」
そういえば――
同居してから、一回も先輩と由紀人さんの弁当、作ってない。
夜ごはんはなんとかしてるけど、昼は?
「……昼、どうしてるんだろ」



