「今年も始まりました!ミス・ミスターコンテスト!」
外から、元気なアナウンスの声が響いてくる。
教室の中は、真っ暗。
私はというと、お化け屋敷の“壁ドン担当”。
人が通るたびに、タイミングを見て壁を叩く。
ドンッ。
……はぁ。なんか、違う意味で心が重い。
せっかくの学祭なのに。
せっかくのミスターコンなのに。
先輩の舞台、見に行けないなんて。
「それでは早速、エントリーナンバー1番から──!」
アナウンスが続く。
外はきっと、歓声と拍手でいっぱいなんだろうな。
いいな。
今頃、先輩のかっこいい姿、みんな見てるんだろうな。
というか…… 私、先輩の衣装すら見れてないんですけど。
どんな服着てるの?髪型は?笑ってる?緊張してる?全部、全部気になるのに、私はこの真っ暗な教室の中。
ドンッ。
壁を叩く手に、ちょっとだけ力が入った。
……先輩の晴れ舞台、見たかったな。



