「ずっと聞きたいことあったんだけど」 先輩の声が、少しだけ真剣だった。 「はい」 私も、自然と背筋が伸びる。 「涼ちゃんのお父さんは、確か病気で亡くなったんだよね」 「そうです。もう10年前くらいになるかな」 懐かしい記憶が、ふわっと胸に浮かぶ。 でも、涙は出ない。 それくらい、時間が経った。 「新しいお父さんができるって聞いて、嫌じゃなかった?」 その言葉に、少しだけ考える。 ……嫌だったかどうか。 昔のことすぎて、うまく思い出せない。