すると、先輩が私の右手をそっと繋いできた。
「えっ?」
思わず声が漏れた。
先輩が、私の右手をそっと握ってきた瞬間。
びっくりして、心臓が跳ねた。
「手繋ぐのはルール違反じゃないでしょ」
先輩は、いたずらっぽく笑いながらそう言った。
その顔が、もう…かわいすぎる。
久しぶりに触れられた。
このぬくもり、ずっと恋しかった。
指先から、心までじんわりあったかくなる。
「好きだよ、涼ちゃん」
耳元で、ふわっと囁かれた瞬間。
もう、無理。 顔が熱い。心臓が爆発しそう。
「ちょっ、先輩…!!」
慌てて言うと、先輩は笑ってる。
「なに?」
分かっててやってる、この人!
ずるい。ずるすぎる。
でも、そんな先輩が、やっぱり好き。
とにかく、お母さんたちに認められてよかった。
この手を、堂々と繋げる日が来るなんて思ってなかった。

