風呂上がり。
髪をタオルで拭きながらリビングに入ると、お母さんと由紀人さんの姿はもうなかった。
部屋には、テレビの音だけが静かに流れている。
ソファには、先輩が座っていた。
ゆるくくつろいだ姿勢で、画面をぼんやり見ている。
「先輩、とりあえず認めてもらえてよかったですよね」
私がそう言うと、先輩はふっと笑った。
「うん。てか、まだ籍入れてなかったんだね」
その笑顔が、どこか安心してるようで私もつられて笑った。
「しかも、ばれてましたね」
そう言いながら、私は先輩の隣に座る。
距離は、いつもよりちょっとだけ近い。


