「でも、付き合うのはいいけど、ルールがあります」
お母さんの声が、少しだけきりっとしていた。
さっきまでの優しい空気が、ピンと張りつめる。
「一緒に暮らしているからと言って、過剰なスキンシップは控えること」
先輩と顔を見合わせる。
そりゃそうだよね。
家の中で恋人モード全開なんて、さすがに無理がある。
「ということは…?」
恐る恐る聞くと、お母さんははっきり言った。
「手を繋ぐ以上のことは禁止です」
その言葉に、ちょっとだけ肩が落ちた。
でも、しょうがない。
この家で、みんなが気持ちよく過ごすためには、必要なこと。
「分かりました。守ります」
私がそう言うと、先輩も静かにうなずいた。
話し合いは、それで終わった。
食卓には、またいつもの空気が戻ってきた。


