夜。 食卓には、4人分のご飯が並んでいた。 湯気の立つ味噌汁、焼き魚、煮物。 いつも通りの夕食。 でも、私の心は全然“いつも通り”じゃなかった。 いつ話そう。 どう切り出そう。 タイミングを探して、箸を持つ手が何度も止まる。 「どうしたの、涼。最近変じゃない?」 お母さんの声に、心臓が跳ねた。 ドキリとする。 変にもなるよ、こんな状況じゃ。 「なんかあったの?」 お母さんの目が、まっすぐ私を見てくる。 優しいけど、鋭い。 その視線に、言葉が喉の奥でつっかえて出てこない。