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帰り道。
洋子さんが迎えに来てくれた車の中。
なぜか、俺と涼ちゃんが一番後ろの席に並ぶことになった。
窓の外をぼんやり眺めてたら、隣から声がした。
「先輩、楽しかったですか?」
「え?あぁ、うん」
急に話しかけられて、声が裏返りそうになる。
「涼ちゃんも楽しかった?」
なんとか返すけど、目を合わせるのが怖い。
すると、涼ちゃんが少しだけ真面目な顔になって言った。
「先輩、最近私と距離がありますよね」
「え?」
心臓が、ドクンって跳ねた。
それは―― 涼ちゃんを前にすると、手を出さない自信がないから。
「え~?そう?」
なんて、笑って誤魔化すしかなかった。
涼ちゃんは、俺の顔をじっと見てる。
その視線が、痛いくらいにまっすぐで。



