今日は朝からずっと雨だから、私も颯くんも部活は休み。

 ホームルームが終わって、並んで傘をさして学校を出た。


「寒い……雪になったりするかな」


 颯くんはマフラーをぐるぐるに巻いて震えている。

 傘を差してるから手もつなげない。


「ならないんじゃないかな。そうなったら、楽しいけどね」

「あのさ、寒いから傘、一緒に入っていい?」

「いいよ」


 私の傘を閉じて颯くんの傘に入る。

 ぴったりくっつくと、そこだけ温かくて、すごく嬉しかった。

 お揃いのアクキーがカチャカチャ揺れている。


「あのさ」

「あのね」


 同時に顔を向けてしまって、すごく、近い。

 言いたいな、好きって。

 きっと、颯くんも同じだと思うんだけど、どうだろう?


「……ごめん、莉子からどうぞ」

「あ、ありがと。あのね、日曜日にサッカーを教えてほしくて」

「えっ、いいけど……莉子、球技苦手じゃなかった?」

「嫌いだけど。颯くんはさ、私の好きな本読んでくれるでしょ。だから、私も颯くんの好きな物知りたくて」


 颯くんが目を丸くして、そのあとちょっと泣きそうな顔になった。


「うん、わかった。近くのフットサル場行こう。あーあとさ、明日って、莉子は部活ある?」

「ううん。この雨だから、明日はないよ」

「俺もさ、グラウンドがずぶ濡れで、たぶん休みなんだ。だからさ、一緒に映画観に行かない?」

「行きたい! あとね、映画館の近くでイルミネーションやってるらしいから、それも」

「見に行こう」


 颯くんは少し前を見てから、また私を見た。


「莉子としたいこと、たくさんあるんだ。……あと4日間も、これからも」


 返事の代わりに、頭をそって颯くんの肩にもたれかける。

 伝わるかな、どうかな。

 答え合わせは4日後だ。