「今日こそ、社会科見学のコース決めるぞ。一ノ瀬、お前に言ってんの」


 双葉くんが一ノ瀬を睨む。


「俺のしたいこと、双葉が全部却下するからだろう!」

「榎本さんと柊さんは、なんかある?」

「無視すんな!」


 社会科見学は、まず空港に集合。

 三年生になってすぐに修学旅行があるから、その練習のためだ。

 そのあとは海辺の科学博物館や美術館、動物園が並んでいる場所に移動する。


「莉子ち行きたいところある?」

「んー、科学博物館か動物園で迷う」

「両方行けば?」


 一ノ瀬が地図を見ながら言う。


「そんな時間ないよ」

「じゃあ社会科見学中は科学博物館行こうよ。そのあと俺と動物園デートしよう」

「あ、それいいじゃん。結、解散したら動物園行こ」

「俺と! デートしてください!!」

「うるさ……結はなんかある?」

「私は科学博物館でいい。今ゲームコラボやってるんだ」

「あ、マジで? それ、もうやってるんだ?」


 双葉くんが食いついて、二人で盛り上がってる。

 結局、二人はコラボイベント行きたいから、終わったらそっち行くって。


「ね、柊。あと49日。デートすんの、楽しみにしてるわ」

「仕方ないな。……ちゃんと楽しませてよ」

「任せとけ」


 一ノ瀬が満面の笑みで私を覗き込んだ。