今日は秋分の日で休み。

 でも宿題山ほど出てるから、あんまり休めない。

 思いっきり寝坊して、昼ごはんのあと宿題を広げたらスマホが震えた。

 一ノ瀬から、通話だ。


「……はい?」


『出てくれた! あの、お願いがあって』


「やだ」


『頼むよ、マジなんだよ。生物の宿題助けて』


「別に難しくないじゃん」


『俺、生物苦手なんだよ。日本史とか物理なら教えられるけど』


「じゃあ、英語教えて」


『英語も……、柊のためなら、がんばる』


 生物の教科書を引っ張り出す。


「何がわかんないの?」


『ね、ビデオ通話にしていい?』


「は?」


『……やっぱ、やだ?』


「まあ、いいけどさあ……」


『ありがとう!! ……柊の部屋着、かわいい……それで外に出ないでくれよ、心配になる』


「出ないよ。いいから、わかんないとこ教えて」


 中学のクラスTだし、かわいいもなにもないと思うけど…。

 一ノ瀬の分からないところを聞きながら、私も宿題をやっていく。

 最初は面倒だったけど、苦手な英語と日本史をけっこう教えてもらえたのは助かった。


「こんなもんかな。ありがと、教えてくれて」


『こっちこそ助かった。柊の顔見ながらだと、倍くらい早く終わる』


「完全に気のせいでしょ。じゃあ、また明日ね」


『うん、あと77日、よろしく』


 プツッと通話が切れた。

 何をよろしくすればいいのさ……。