未熟なスマホ退魔師は過保護な幼馴染に溺愛される

「少々お待ちください」
 電話の相手に言ってから保留にして、彼は目を輝かせて彼女を見る。

「ほんとに、行ってくれる?」
「低級しか無理ですけど」

「ありがと、すぐ手配する」
 職員は顔を輝かせ、保留を解除すると相手に「これから行きます!」と伝えていた。
 結珠は彼から送られた地図データを元に退魔協会が用意したタクシーで現場に向かった。



 タクシーを降りた結珠は目の前の古屋敷にほほをひきつらせた。
「ねえ、ほんとにひとりでやるの?」
 姿を現した使い魔のタマが不安そうに言う。

「はやく独り立ちしたいじゃない」
「龍真様にいいとこ見せたいのはわかるけどさ……不安にゃよ。ぼくは猫又になってから日が浅いから妖力(ようりょく)が弱くてサポートも下手だし」
 タマはそわそわとしっぽを動かす。

「大丈夫だって。龍真と一緒ならたくさん封印してきたじゃない」
「だけど、もし低級に見せかけた上級のあやかしだったら? 知恵をつけたあやかしはそうやって人をだますって言うにゃん」

「退魔協会が調べてから決めてるから大丈夫よ」
 実際、結珠は今まで一度もそんなミスには出会ったことがない。
 もらったデータによるとここに出るあやかしはアメーバ状で、調査員を見ると身を隠してしまうのだと言う。

「えっと、まずは結界を張る」
 スマホを出して、退魔アプリを起動し、『結界を張る』を選んでタップ。
 ぶん、と音がして結界が屋敷の土地に張られる。これでもう一般人は入って来られない。

「さあ、行くよ」
「にゃあ!」
 結珠はタマを伴い、預かったカギで玄関(げんかん)のカギを開けて中に入っていった。