未熟なスマホ退魔師は過保護な幼馴染に溺愛される

「では、私たちは失礼しますので」
 有田と部長が再度頭を下げてから退室する。
 ふたりきりになり、結珠はほっとしてフォークを手に取った。

「いただきます!」
 ミニサイズの星型タルトにリンゴとキャラメルクリームがたっぷりと使われている。生地はさくっとしていて、口の中でほろほろとくずれる。リンゴは甘さと酸味のバランスが程よく、キャラメルクリームとの相性もばつぐんで、どれだけでも食べられそうだ。

 幸せそうに食べる結珠を見て、龍真は微笑する。
「次の昇級試験、受けるか?」
「いいの?」
 いつも龍真は結珠が昇級試験を受けるのを良しとせず、止められていた。

「ただし、試験勉強は俺と一緒にすること」
「龍ちゃんはほんと過保護」

「嫌なら試験はなし」
「嫌じゃない! やる!」
 龍真と一緒に勉強できるなんて、断るわけがない。

「いい子だ」
 龍真は結珠の頭をぐりぐりと力強くなで、髪がぐしゃぐしゃになる。
「もう、また!」
 結珠は龍真の手が離れるとすぐに髪を整える。

 龍真の慈愛(じあい)に満ちた目に気が付いて、結珠はタルトに目を戻した。
 きっとあのとき好きって言ったのは、妹としてってことなんだろう。
 いつか恋人ポジションになれるのかな。
 思って、かあっとほほが熱くなる。

「結珠?」
 龍真がけげんな様子で結珠を見る。
「なんでもない」
 結珠はごまかしてタルトを口に含む。

 甘ずっぱい味が口いっぱいに広がり、結珠の胸はどきどきした。
 その横では、タマが幸せそうにおやつをほおばっていた。