デート?……でーとって、あの恋人同士の男女が楽しく過ごす、伝説のアレ? それを私と先輩が? ……からのー、喫茶店で向か
い合ってお喋り? 何を話すの? もしかして同じ飲み物を二人でハートのストローで飲むとかする? ……からのー告白?
=ハートのストローって……紅奈って、たまに年寄り臭い事、言うのね=
ため息が聞こえた気がする。
=大丈夫、危なくなったら、ちゃんとお姉ちゃんがフォローするから=
=……まあ、それなら、何とか……=
その前に当日着ていく服とか買ってこないとね。予算は……お年玉貯金を崩して何とかなるかな。
コーデもお姉ちゃんに全任せ。自慢じゃないけど、家では中学の時のジャージとかでいるし、普段は制服があるし、お出かけは中学
の時の服をそのまま着用というリーズナブルな生活。
=子供か!=
などと言われた。
「日曜日? いいよ何処にでも付き合うよ」
拍子抜けするほどあっさりと先輩はデートを了承してくれたけど。それってデートだって認識してますか? 伝説のあのデートです
よ?
土曜日に一日かけて服屋関係をまわって購入したらもう、ぐったり。
「疲れた……」
両手に紙袋を持ったままベッドに倒れ込んだ。
そして決戦の日は日曜日。何かの歌にありそうなそのフレーズがぴったりな気持ちの良い青空。
=では出発!=
「おお!」
もう私も完全にその気になってる。
待ち合わせは近くの公園。私の家からは近いけど、先輩はバスで向かってきてる。面倒をおかけします。
先についた私はそこにあった白鳥の銅像を見上げる。前はお姉ちゃんとこの銅像で遊んだ気がする。もちろん、子供の私をお姉ちゃ
んが遊ばせてただけだけど。
あれから幾年月……今、こうしてここに立っているのは不思議な巡り合わせだよね。
ちなみに今の私の格好……。
上は薄い緑と白色のチェックのブラウス、下は白のラインの入った黒の釣りスカート。黒のニーソックスとブラウスと同じ薄緑色の
ピンヒールといういで立ち。うーん……一式全部新品だと緊張する。いや、これからもっと緊張する事が起こるんだぞ。
それにしても一時間前は早すぎたかな。
で、そんなこんなで先輩が現れた。
先輩はグレーのジャケットにベージュのパンツ、真っ白なスニーカー……もう好青年過ぎる!
「待った?」
「あ、今、来た所だから」
「…………」
先輩は私の事、じーっと見てる。さてさて、判定は?
「いや……凄い……素敵だね」
「あ、ありがとう……」
もうこれ以上もない誉め言葉。
=やったね!=
お姉ちゃんに肘でつつかれてる気がする。



