彼……二年なので先輩の事はあれからずっと気になってた。

 何がどう気になるのかって、改めて聞かれても分からないんだけどね。

 先輩の話し方とか、笑い方とか云々。全部が心地良いのよ。例えるなら、今年、入学式に歩いた桜並木の雰囲気かな。側にいたら多

 分、幸せな感じがするのは確定。

 そんな事を考えながら、自分の部屋でお気に入りの紅茶(関係ないけど、紅奈と紅茶は似ているね)を飲む。今日はお母さんが近くの喫茶店から買ってきてくれたアールグレイティー。学校帰りに飲むこの一杯はまさに至福の時……。

 =……で、いつ告白するの?=

 「⁉ぶうふうううう!」

 ああ……口から至福の一杯が噴き出して、机の上が大惨事に!

 =な……何で急にそんな事を?……=

 =だって、紅奈が認めるような人、他の人が放っておくわけないでしょ?=

 =んー……それは……そうかな……=

 惨劇の中心にあったエイハちゃんから借りたノートをタオルで拭く。

 =変な事を言うと長谷部先輩に迷惑がかかるんじゃないかなって=

 =またそんな事を言って!……ちょっと借りるね=

 「!」

 お姉ちゃんは私の体を乗っ取った。

 「柊紅奈はね! この完璧超人、柊翔子の妹なの!……だから絶対大丈夫! もっと自信を持ちなさい!」

 腰に手を当てて鼻息荒く、鏡に向かってVサイン。なるほど、こうして見て見ると、ちょっと釣り目になってて雰囲気が違うかも。

 =そ、そうだね。私、頑張ってみる=

 「分かったならよろしい!」

 「…………」

 体が戻った。途端に印象は夏場のチョコレートへ。

 って、言うかいつの間にか、告白するのが前提になってる。待って待って、まだそこまでは考えてないから。ゲージはライクとラブ

 の中間? 

 もっと時間が必要だと思う。

 そうか、愛に時間をって、こういう事なのか。

 =じゃあ、さっそく告白の準備するからね=

 =う、うん=

 =まず、段取りとして……=

 それからは長谷川先輩への告白作戦の段取り。と言っても全部、お姉ちゃんの計画なんだけど。

 計画は簡単。

 日曜日にショッピングに付き合ってくれませんかと、長谷川先輩に言う。OKが出たら、朝からショッピングモールでデート。近く

 の喫茶店でお茶をしながらお喋り。帰り際に、告白タイム……。

 「!」

 聞いてた私は顔が真っ赤になったの。