「?」

 「あの……先輩……」

 「…………」

 「あの……」

 「驚いた……紅奈ちゃんは……強いんだな」

 「え?」

 「それに比べて、僕は腰を抜かしてただけで、情けないったら」

 笑って立ち上がった。

 私と先輩は顔を見つめてる。

 何回か、髪を揺らしたぐらいの時間が経ったぐらいの頃、天使が二人ぐらい歩いていったぐらいとでも言うべきか……。

 「先輩……私と……付き合ってください」

 何だか拍子抜けするほど、自然に、それでもって、あっさりと言えた。ほんとに、びっくりするほど力が抜けてる。

 「……その……僕でよければ」

 言えた! そして……先輩は受け入れてくれた!

 私は先輩を強く抱きしめたの。

 優しい温もりに包まれて、私は幸せだった。

 =やったよ、お姉ちゃん!=

 「紅奈ちゃん、寒くなってきたし、そろそろ帰ろうか?」

 「え、うん」

 私は先輩と手を繋いで歩き始める。

 一人で成し遂げた武勇伝……からのー、告白大成功!

 家に戻ったら、お姉ちゃんとお祝いしよう。

 =もう、いつまで黙ってるの?=

 そんな事を考えたら、何処からか、お姉ちゃんの笑い声が聞こえた気がした。