【短】谷底のカスミソウ ―Valor VS Malice―

 でも、私には一改くんに返せるものがないから。

 いつか、私から一改くんに渡せるものができたら、このわがままを伝えてみようと思う。

 それまでは…。




「一改くん」


「ん?どうした、かすみ?」


「あのね…ありがとう」




 何度も、心からの感謝を伝えるよ。

 一改くんがクシャッと笑う、その顔が好きだから。




[終]