変にドキドキする胸にとまどいながら首をかしげると、一改くんはすこし眉根を寄せて私を見つめた。
「礼を伝えに来てくれたのはうれしいけど。もう、こんなあぶないことすんなよ?Maliceのやつら、クズばっかだし…」
言葉のとちゅうで、目を細めて私のほおをなでる一改くんにドキッと心臓がはねる。
一改くんが今ふれているのは、Maliceの総長にビンタされたところだ。
もしかして、赤みが残ってたのかな…?
「なんか、ひでぇことされなかったか?」
「だ、大丈夫です…っ。そんなに、たいしたことは…」
「…はぁ。やっぱ、心配。さっきの、不運がどーたらって話も気になるし…帰り道、話聞かせてもらうから」
一改くんは私のほおから手を離して、真剣な目で私を見つめる。
一改くんと、一緒に帰れる。その道中、話もできる。
なんだか、夢みたいだ。



