シャツ越しに感じる、温かい体温のせいか。
耳元で聞こえる、低い声のせいか。
初めて呼ばれた、名前のせいか。
ドキドキと鼓動が速くなって、顔に熱が集まっていく感触がする。
一改くんが、これからも私の人生にいてくれることが、うれしくて。
「…い、」
「おい、一改!」
「ちょ、総長!今声かけたらかわいそうだって、なんかいい雰囲気だし!」
一改くんに話しかけようとしたとき、他の人の声が聞こえて、私も、なぜか一改くんも、ビクッと肩がはねた。
「っ、うるせぇ!なんだよ!」
「Maliceは片付いた!これからあと始末するから、おまえはその子を家まで送り届けてこい。送りオオカミにはなんなよ?」
「~~っ、だまれアホ!」
送りオオカミ…?とパチパチまばたきをしながら、すこし顔を上げる。
一改くんはほおを赤くして、うしろをにらんでいた。



