【短】谷底のカスミソウ ―Valor VS Malice―



「あの…どうして、助けてくれたの…?」




 彼女たちに声をかけると、みんなは振り向いて私を見る。




「あなたも、助けてくれたから…私たちの代わりに、声、あげてくれて、ありがとう…」




 かすれた声で答えた女の子だけじゃなく、みんなが弱々しい笑顔を浮かべて、同意するようにうなずいた。

 私が、彼女たちを助けた…。




「…ううん。私こそ…ありが、とう」


「うん…」




 先ほどよりすこし光を取りもどした瞳に見つめられ、うまく言葉にできない気持ちが湧き上がってきて、視線を落とす。

 私たちの話が終わるのを待っていたように、近くにいたValor(ヴァラー)の人が声を発した。




「仲間が他の子たちを助け出してるから、きみたちもそっちに合流して、この戦いが終わるのを待ってて」


「「はい…」」