「俺はあんたに負けない!」
「一改、この野郎…!」
兄弟とは言っても、あまり似た雰囲気は感じられない2人が なぐり合いを始める。
ナイフを持っている相手に大丈夫かな、と眉を下げて心配する私の肩に、だれかの手がふれた。
「きみ、大丈夫か?」
そばにしゃがんで顔をのぞきこんできたのは、やっぱり知らない顔。
コクリとうなずいて答えると、「あぶないから離れてるんだ」と彼は一改くんたちに視線を向けながら言った。
「は、はい…」
気づけば、一改くんたちの周りで地面に座りこんでいる女の子たちのもとにも、Valorの人たちがそれぞれ近寄っている。
私は地面に手をついて立ち上がり、一箇所に誘導されている彼女たちのもとへ、ゆっくり近づいた。



