「~~っ…!」
「っつ…おい、……かつら?」
おどろいたような一改くんの声を聞いて、いつのまにか頭が涼しくなっていることに気づく。
転んだせいでウィッグが取れちゃった…!?
パチッと目を開くと、一瞬私の上におおいかぶさる一改くんと視線がからんだものの、一改くんが急に「くっ」と顔をゆがめて、うしろを振り返った。
今のうちに、と痛みが残る体をひねって、地面に落ちてしまったウィッグを回収する。
かがみがないと変になっちゃうけど、今は勘でウィッグをつけなおして、おそるおそる一改くんを見た。
私がウィッグを回収しているあいだに立ち上がったらしい一改くんは、今、茶髪の男子と格闘をくり広げている。



