「わかった。これから、ここを抜けたいって話してくるところだから…それが終わったら、通報するね」
「バカね、抜けたいって言って抜けさせてくれるようなところじゃないわ。あなたは今すぐここを離れて、もう一生ここに来なければいいの」
「え…」
「その格好をしなければ、あいつらに見つかることもないでしょ」
ひどくかすれた声でも、つかれがにじんだ暗い表情でも、彼女は私よりしっかりしているらしい。
「そ、そっか…わかった」
コクリとうなずくと、彼女は「あいつらに気づかれないように。行って」と私にささやく。
私はもう一度うなずきを返して、周囲に視線を走らせながら そっと立ち上がった。



