初めて一改くんとちゃんと話せた、あの夜の帰り道。
あのとき胸のうちにしまった言葉を思い返すたび、やっぱり私は、“2週間前のお礼”を一改くんに伝えたい、と強く思った。
学校で放課後の掃除を押しつけられたり、雑用をたのまれたり、ちょっとした不運が重なって、数日間Maliceの倉庫へ行くことができなかったけれど。
今日は早めに帰ってこれたから、私はまた男装をして、Maliceの倉庫へやって来た。
一改くんにお礼を伝えるために…まずはMaliceを抜けなきゃ。
“新入り”ってことになったし、1人でもMaliceの倉庫に入って大丈夫だよね…?と、おそるおそるにぎやかな倉庫に足を踏み入れる。
「ぎゃはは!」
「もっとやればよかったのによ~」



