特に強打した左半身を押さえながら、うめき声が聞こえたうしろを振り返ると、Maliceの1人がほおを腫らして仰向けにたおれる。
その前に立っているのは、やっぱり黒髪の彼だった。
私を避けて、いつのまにか私のうしろに立っていたあの人をなぐりに行ったらしい。
チッと舌打ちが聞こえた反対側を見ると、残ったMaliceのメンバーが1人で路地の奥へ走って逃げていく。
「おまえはまだやるか?それとも、あいつみたいに逃げるか?」
トゲのにじんだ冷たい声が耳に入って、視線を黒髪の彼にもどせば、するどく見すえるような視線に射抜かれて、体がこわばった。



