彼を心配する私の目に映ったのは、彼が涼しい顔で2人の攻撃を避け、逆に2人をまとめて()り返した姿。

 私が棒立(ぼうだ)ちしているあいだに、黒髪の男の子は「おら!」と声をあげる茶髪の男子を2発の反撃でたおした。

 この調子なら彼がケガをすることはなさそう、とMalice(マリス)の人たちにはわるいけどホッと肩を落としたとき、ドンッと背中を押される。




「え…っ」




 押されたいきおいのまま前に出ると、パッとこっちを見た黒髪の男の子と視線がからみ合って、そのまま彼にぶつかりそうになる。

 衝撃(しょうげき)覚悟(かくご)してギュッと目をつぶると、私の体に(おとず)れたのは、硬い壁にぶつかった痛みだった。




「うっ…」


「ぐぁっ!」