「え…?」
あのときの、男の子…!?
目を見開いて、数歩先にいる彼のととのった顔をまじまじと見つめると、形のいい赤い唇が開かれた。
「またちょっかいをかけに来たのか。俺がおまえらにやられるとでも?」
「うるせぇ!てめぇだけは絶対ぶち殺す!」
「はっ…やれるもんならやってみろ」
冷笑であしらう顔を見つめながら、どうして、と とまどう。
あのときはMaliceの総長と一緒にいたから、Maliceの人だと思ったのに…どうして、Maliceと敵対してるValorの倉庫から…?
もしかしてあの男の子じゃないのかな、と一瞬浮かんだ考えは、彼が腕まくりをして見えた、左腕にある赤い傷痕を目にして吹き飛んだ。



