手を握ってくれたあなたともう一度

「あぁ。すぐに対処はしたが何体かはこちらの世界に残ってしまった」

「そんな・・・」

2人の会話にリアラは胸をギュッと両手でおさえた。

「妖怪が・・・」

リアラの脳内にあの時の記憶がぶわっと甦る。
思い出したくない記憶、忘れたい記憶。

「リアラ大丈夫?」

「えっ」

ハッと我に返ったとき、目の前には心配そうにリアラを見つめるラースの顔があった。

「震えてるよ、何かあった?」

その言葉に両手がカタカタと微かに震えていることに気付く。

「あ、、大丈夫。ごめんなさい」

咄嗟に両手を握るようにして誤魔化したリアラであったがゼスの目には何かに怯えているように映った。

「妖怪たちの世界と人間の世界を繋ぐゲートのようなものがこの村の近くにあるんだ。
何かの拍子に封印が解けてしまったようだが、すぐに対処をして今はもう封印してある。
これ以上妖怪たちがこちらの世界に来ることはない」

聞かれているわけでもないのにゼスは淡々と話し出す。

「ただ、こちらの世界に来てしまった妖怪たちは倒さないといけない。
ゲートに触れて感じたのは恐らく10体はこちらの世界に来てしまったと予想する。
だが安心してほしい、俺たちが必ず妖怪たちを倒す。
急いでいるかもしれないがそれまでの間はこの村にいてほしい。
リアラを守らせてくれ」

震える手をそっと握るようにゼスはリアラの手に自分の手を重ねる。