手を握ってくれたあなたともう一度

「全然気付かなかった・・・」

「幸い、深い怪我ではなかったが痛むようであればまた教えてほしい」

ゼスはリアラにそう伝えると背を向けドアの方に歩き出す。

「俺は戻るがまた何かあればいつでも言ってくれ」

ドアノブに手をかけたゼスに「ちょっと待って!」とリアラは声をかけた。

「なんだ?」

くるりと体の向きを変えゼスはまたベッドの方に戻ってきた。

「あ、えっと、、ありがとうございました。助けてくれたのはゼスさんだとラースから聞いて。
私はもう大丈夫です。今日にでもここを出て行きます」

リアラの最後の言葉にゼス、ラースは顔を見合わせる。

「リアラ、別に今日ここを出て行かなくたっていいんだよ?
もう少し休んでからで大丈夫なんだからね?」

「うん、ありがとう。でも私は行かないと」

心配そうに見つめるラースを他所にリアラはいたって冷静に答えていた。

「リアラと言ったか。急いでいるところ悪いがここ数日はこの村にいてもらいたい」

「どうしてですか?」

リアラの問いに「ラースにも伝えようと思っていたが」とゼスは話し出す。

「妖怪たちがまたこの世界にやってきた」

「妖怪たちが!?」

ラースは大きな声を上げる。