手を握ってくれたあなたともう一度

「他の人たちは異能の力が使える人がほとんどだけど、
中には使えない人もいるからそこは気にしないでね」

ラースはゼスの言葉にそう付け足すと、リアラがいるベッドに腰かけた。

「魔法や異能の力については知っているよな?」

ゼスの問いかけにリアラは小さく頷く。

「異能の力を魔力として扱うのが魔法使いと言われているが、
魔法が使えなくても優れた異能の力をもった奴らはたくさんいる。
だから、力が使える使えないで俺たちは人々を見ていない。
もちろん、この村にいる人々はみんなそうだ。」

安心させるように言葉を選んで伝えているゼスにリアラは「はい」と返事をした。

「また落ち着いたら事情などゆっくり話を聞かせてくれ。それまではいくらでもここにいていい」

「あ、の」

ゼスの言葉のあとにリアラはすぐ言葉を発した。

「私のこと、怪しいとかそういう風には思わないんですか?
こんな見ず知らずの人にここまで・・・」

そこまで言って言葉を噤む。
ここまでよくしてもらった人たちに言う言葉ではなかった。

「別に深い意味はないが、悪意を感じなかったからだ。
それに怪我をして倒れている奴を放置するなんて俺には考えられん」

怪我?と思いリアラは腕を見るが手当された形跡はなかった。

「足首に切り傷があってね、恐らく森の中で転んじゃったのかもしれないね」

ラースの言葉に布団をめくると右足首に包帯が巻かれていた。