手を握ってくれたあなたともう一度

「なぁ、リアラ」

「ん?」

「今、幸せか?」

ゼスの目が不安そうに揺らいでいた。

「幸せだよ、すごく幸せ」

その不安を拭うかのようにリアラはハッキリと告げる。

「そうか」

安心したように笑うゼスにリアラもまた笑った。



あの日の戦いを境に呪いの力は消滅し、リアラは何も力をもたない人となった。
力をもっていたときはいつどこで誰かを傷つけてしまうか分からず、毎日が怖くて消えていなくなりたいとさえ思っていた。
だけど今は誰かのために生きたいと思うようになった。

家族をこの手で殺めてしまった過去は変えられないし、
一生背負っていかないといけない罪だとリアラは感じている。

助けたかった命、助けられなかった命。

「・・・」

リアラは自分の右手を見つめる。
もう後悔はしたくないし、誰も失いたくない。
この手で誰かを救うことが出来るなら何だってする。

「あっ」

ゼスの大きな手がリアラの手を優しく握る。
見上げるリアラの目に映ったゼスの表情はとても柔らかいものだった。

「俺たちもついてるから」

「頼りにしてます」

ゼスとリアラは笑い合う。

「今日のお昼はちょっと贅沢にしちゃお~」

「俺も作るの手伝う」

そんな話をしながら2人は手を繋ぎながら家の中へと戻って行った。