「っ!?」

焦点がラースに合うと少女は途端にベッドから起き上がった。

「はっ、はっ・・・ぁ、ッ・・」

呼吸が荒くパニックになっているように見える。

「落ち着いて、大丈夫。私たちはあなたの敵じゃないよ」

優しく微笑み、落ち着いた声で少女に声をかけるラース。

「大丈夫だからね。まずは自己紹介からしようかな。
私の名前はラース、そして隣にいるのがサザネ」

少女がゆっくりとサザネに視線を移す。
その目には恐怖の気持ちが見えた。

「怖がらせてしまったらすまない。だが本当に俺たちは敵じゃない」

威圧感を感じさせない落ち着いた声色だったからか、少女は少しずつ落ち着きを取り戻していった。

「今の状況を説明するとね、
ここはスぺリーゼという村で今いる家は村長の家なの」

少女は話し出したラースに視線を戻す。

「あなたは一昨日の夜にここに運ばれてきたの。
森の中で倒れていたのを私の兄であるぜスが見つけてね」

ラースの話に耳を傾けている少女は表情を変えずに聞いている。

「まだ混乱しているとは思うから何があったかは聞かない。
落ち着くまでここにいていいから、しばらくはゆっくり休んでね」

優しく微笑むラースを見て少女は警戒しながらも静かに頷いた。