手を握ってくれたあなたともう一度

だが、その刀はリアラにあたることはなかった。
黒い霧がカラス天狗に襲い掛かったからだ。

「なんだあの霧は」

咄嗟に避けたカラス天狗だったが黒い霧はどんどん質量を増していき、
次々にカラス天狗に襲い掛かる。

「っ!!」

避け続けたカラス天狗だったが足先が黒い霧に触れてしまった。
その瞬間、体から力が抜け地面へと落ちる。

ドスンっという衝撃音が聞こえたのち、カラス天狗が動くことは二度となかった。

「はっ、、、はぁ、っ、、」

一連の流れをリアラはまるで別の意識から見ているようだった。
体が言うことを聞かない。

リアラの意思とは関係なく黒い霧はどんどん増えていく。
やだ、やめて、リアラは心の中で叫ぶがもうどうすることも出来なかった。

「このままじゃ、トキが・・・」

気を失っているトキに視線を向ける。
この黒い霧が暴走を始める前に何とかしないと、と思っているリアラだったが
力は強さを増す一方で意識がどんどん遠のいていくのを感じた。

「だめ、意識を、失ったら、、」

歯を食いしばって何とか耐える。
だが次の瞬間、体の底から沸き起こる強い力にリアラは抵抗できず、

「あああああっっっ!!!」

痛みと共に力が解放されてしまった。