手を握ってくれたあなたともう一度

「弱い?無駄?」

静かに呟くとトキを岩の上に寝かせる。

「誰が弱い?何が無駄なの?」

カラス天狗のほうに向きなおり、リアラはゆっくりと立ち上がる。

「大切な人を守ろうとした人のどこが弱いの!!!」

"みんなを守れるようなそんな格好いい人になるんだ!"

トキの笑顔が脳裏に浮かんだ。

「怖い気持ちを押し殺して戦った。それが無駄なこと?」

リアラの体から黒い霧が微かに纏い始める。

「貴様も力もちか」

戦闘態勢に入るカラス天狗をリアラはキッと睨む。

「絶対に許さない、絶対に」

「っ・・」

あまりの殺気にカラス天狗は一瞬たじろぐがすぐに態勢を整え、空へと飛び上がった。

それに続くようにリアラもまた浮き上がる。

「小娘、浮けるのか!」

リアラの体に黒い霧が纏う。
どんどんそれは濃さを増していく。

「チッ、」

何も反応をしないリアラに痺れを切らしたのか
カラス天狗は持っていた刀をリアラに振りかざした。