手を握ってくれたあなたともう一度

「っ!!」

額から大量の血が流れていた。
近くの岩を確認すると赤い血がついているところが多々あった。

「もしかして、」

「リ、ア、ラ・・お姉、ちゃん・・・?」

「トキ!?」

うっすらと目を開けたトキ。
顔は痛々しく腫れており、早く手当てをしないと危ない状況なのは一目瞭然だった。

「大丈夫!?」

「逃げ、て・・」

「え?」

「逃げ「人間見つけた」」

トキの言葉を聞き取ろうと顔を近付けたとき、背後から不気味な声が聞こえた。
咄嗟に後ろを振り向いたリアラの背後にいたのは
真っ黒な羽を背中につけ、大きな嘴をもったカラス天狗だった。

「なっ・・・」

目の前にいる妖怪から目を離すことも出来なければ、体を動かすことも出来なかった。
恐怖でリアラの呼吸が荒くなる。

「人間ごときが我に歯向かいおって」

鋭い目をトキに向けたカラス天狗。

「弱い人間ほど力を使いたがる。無駄なことを」

その言葉が聞こえたときリアラの中で何かが弾ける感覚が起こった。