手を握ってくれたあなたともう一度

「そう言えば、どうして魔法団という組織を作ったんですか?」

何気ないリアラの言葉に魔法団のメンバーは表情を曇らせる。
聞いちゃいけない内容だったかも、と感じたリアラはすぐに話題を変えようと口を開きかけるが

「みんな妖怪に村や家族が襲われてな」

トルアの言葉によって口を閉ざした。

「そう、だったんですね、すみません知らなかったとはいえ、失礼なことを聞いてしまいました」

謝罪するリアラにゼスは「大丈夫だ」と返事をする。

「サザネ、トルアは家族が襲われた。
マヒリ、ミツノは暮らしていた村が妖怪の手によって滅んでしまった」

そこまで言ってゼスは口を閉ざした。
「そしてゼスは」と代わりに口を開いたのはトキだった。

「ゼスは家族を殺されたんだよね」

子供の口からそんな残酷な言葉が出るとは思っていなかったが、
握っている手が微かに震えていることから本当のことなんだろうとリアラは感じた。

「僕のお父さんもそうなんだ」

苦しそうにトキは言葉を続ける。

「ゼスたちがこの村に来なかったらきっと僕とお母さんはこんなに笑っていなかったと思う。
魔法団のみんなだって辛いはずなのに僕たちのことを一番に心配してくれて守ってくれて。
だから僕もゼスみたいな人になりたいって思ってるんだ!」

どこか寂しそうに笑うトキを無意識にリアラは抱き締めていた。

「話してくれてありがとう」

他にかける言葉が見つからなかったリアラが出来る唯一のこと。
微かに震えている体を優しく抱き締めることだけだった。