そして通路の突き当りには《口出》の看板が光っている。
「出口だよ!」
私は思わず大きな声でそう言って、渚ちゃんと共に駆け出した。
だけど、反転した出口看板の前まで到着すると、急に渚ちゃんが立ち止まったのだ。

「どうしたの? 早く出るよ?」
貴也はきっと追いついてくる。
ここで待つよりも外で待つほうがずっと安全だ。

それなのに渚ちゃんは唇を引き結んで首を左右に振ったのだ。
「出られない」
「なに? どういう意味?」

出口はもう目の前だ。
数歩進めは外に出られる。
私が渚ちゃんの手を引っ張ると、渚ちゃんはひきずられまいと体勢を低くして抵抗する。
「どうしたの渚ちゃん。ずっとここにいたいの!?」